めちゃくちゃブックス

読んだ本の感想やメモなど

小説

「浮遊霊ブラジル」津村記久子

津村記久子の短編集「浮遊霊ブラジル」収録の「地獄」を読んだら、生前にドラマ、映画、小説、その他あれこれの「物語」を消費しすぎた罪によって主人公が「物語消費しすぎ地獄」で罰を受けるという話だった。 これは結構、身につまされる鋭さを持っている。

「聖痕」筒井康隆

久々に筒井康隆を読んで、文章を前へ前へと読ませる力に驚いた。 聖人伝のパロディのような、また現代の日本において「聖人」はいかに成立するか、という問いへの答でもあるような作品で、冒頭の事件Aから、必然としてBとなり、ということはCになるはずで…

「ゴッドファーザー(下)」マリオ・プーヅォ

・「ゴッドファーザー」の下巻に進むと、映画ではごく表面だけが描かれていた流れの水面下、さらに深層で何が起こっていたかまで細かく書かれている。

「ゴッドファーザー(上)」マリオ・プーヅォ

・図書館に「ゴッドファーザー」の上下があったので借りてみると、映画でのミッドポイントになると思っていたシーンが上巻の最後の方にあって「やっぱり!」と思う。 ・原作も映画も前半はタイトルの通り「ゴッドファーザー=ドン・コルレオーネ(=マーロン…

「拳銃使いの娘」ジョーダン・ハーパー

読者モニターになったおかげで仕方なく「木曜殺人クラブ」を読んだ(注)が、あまり人に薦めようとは思えなかった。ところが同じポケミスの「拳銃使いの娘」を読んでみたら、これはテキパキした文章で面白く、ページ数は「木曜~」の半分だがほぼ一日で読了…

「怪(百年文庫)」五味康祐ほか

ポプラ社のアンソロジー「百年文庫」シリーズは行きつけの図書館にたくさん置いてある。

「どこから行っても遠い町」川上弘美

読書会をやっていると、変な感想を言ったり、妙な質問をしたりする参加者がチラホラいる。

「頭の良くなる薬」のような本

内田樹の文章や対談を読んでいると、特定の本を読むことで頭の回転がよくなる、という話が繰り返し出てくる。

「小説 浅草案内」半村良

半村良の「小説 浅草案内」を読んでいる最中だが、この作品のようにタイトルにわざわざ「小説」と入れる理由は何であろうか。

「サリンジャー 生涯91年の真実」ケネス・スラウェンスキー

今さらサリンジャーの評伝を読んでも、何も新しい発見などないのではと思って読んでいたら、「ナイン・ストーリーズ」の「笑っている男」には元になった(らしい)作品があると知った。

「コンビニ人間」村田沙耶香

「芥川賞受賞作なのに面白い」という評判だし、読書会の課題図書(として図書館が貸してくれる本)のリストにあったので読んでみたところ、字が大きくて140ページほど(単行本版)なので、あっという間に読み終えてしまった。

「ぱいかじ南海作戦」椎名誠

前回の続き。これも椎名誠の本で、長編小説である。 発端は、主人公の男に「失業と離婚が同時に来た」という状況で、もう何もかも投げ出して、というほどいい加減ではないがそれに近いような心境で南の島へ行く、というもの。

「最愛の子ども」松浦理英子

語り手が「わたしたち」という奇妙なスタイルの小説だが、読みやすいし面白いしで久々に小説に夢中になって、あっという間に読み終えた。そして後述するが、読み終えてからも面白いのであった。

「酔って候」司馬遼太郎

諸藩の殿様が、幕末期に何をしていたかを描いた短編集。 お正月に「死ぬことと見つけたり」を読み終えて、佐賀鍋島藩のその後はどうなったのか気になっていたので読んでみた。

「死ぬことと見つけたり〈下〉」隆慶一郎

下巻は第八話から十五話まで。最後まで読むと、作者が残した梗概(第十六、十七話)とその後のプランらしきものが編集部によってまとめられていて、概要はつかめるようになっている。

「死ぬことと見つけたり〈上〉」隆慶一郎

年末から熱を出して寝込んで、それでも面白く読めて、2日に上巻を読み終えた。新年初の読了本が「死ぬことと見つけたり」である。

連城三紀彦とか「人工知能」とか

最近、連城三紀彦の短編を読み直している。初期の作品のうち手元に6,7冊ほどあって、いずれも古い本である。

岩波文庫90周年

本日は岩波文庫の誕生日で、90周年とのこと。人間でいうと卒寿である。

「大股びらき」ジャン・コクトー

面白いものに出会うと、精神が活発化して、肉体的にも抵抗力が強くなるように感じられる。つまらないものにぶつかってしまうと、逆に精神も肉体も参る。寿命を削られたようにすら思ってしまう。

「犬の人生」マーク・ストランド

詩人の書いた短編集。村上春樹の訳&解説のもので、古本屋で50円で買った。 詩人が書いただけあって、「小説になっていない」というか「小説未満」「未完成のスケッチ」という印象を受けた。

「ノリーのおわらない物語」ニコルソン・ベイカー

9歳の女の子の視点から書かれた話。ストーリーはあるようなないような調子で、強いて言うならいじめられっ子の友人を主人公が守ることが後半の柱になる。 しかし、この小説の肝は一にも二にも「子供の頭の中身(訳者あとがきより)」にあって、子供ならでは…

ゾンビ関連の本や映画あれこれ

日経新聞の6月13日の夕刊に「ゾンビ研究 世界で増殖」という記事があり、小説や漫画、研究書、映画などが幾つか紹介されている。ゾンビ物は自分も興味を感じるので、メモ代わりにここに挙げておく。

「山梔」野溝七生子

「昭和初期、厳格な軍人の家庭で生まれ、ギリシア神話に傾倒し、その内面のあまりの豊かさから周囲から迫害を受ける」 「精神の貴族ともいうべき女の子が辛い目に遭う話」 という「オードリーとフランソワーズ」の紹介文句に惹かれて読んでしまった。

「海神丸(付・『海神丸』後日物語)」野上彌生子

漂流してあっという間に水も食料も尽きてしまった海神丸に乗った4人の男がさあどうなる、という実話を元にした小説。

小説の始まり方

はてなハイクに「小説の始まり方」というお題があって、要は自分の好みの書き出しを挙げるだけである。 小説の始まり方 - はてなハイク

「トム・ソーヤーの冒険」マーク・トウェイン

「トム・ソーヤーの冒険」は言わずと知れた名作だが、子供の頃に一度読んだものの、ほとんど覚えていなかったので楽しめた。ストーリーはともかく、何と言ってもごく些細な描写が古びておらず、愉快で飽きない。

「江戸の爆笑力―時代小説傑作選」細谷正充(編)

ユーモア色の強い時代物の短編を集めたアンソロジー。 特に印象に残った4編のみ簡単にメモしておく。

「捜神鬼」西村寿行

西村寿行は70~80年代に活躍した人気作家なので、今やほとんど新刊書店では見かけない存在になってしまった。「寿行」という名前の読み方すら分からない、知らない、という人が多いのではないだろうか(「じゅこう」と読む)。

「流れる」幸田文

四十すぎの未亡人の主人公が、芸者置屋の女中となって働くという短めの長編小説。

「正義と微笑」太宰治

古い小説を読んでいると、今と価値観が違いすぎるために、うまく受け止めかねる珍妙な場面や文章に出くわすことがあります。そのような珍妙さをあざ笑うような態度には、どことなく育ちの悪さのようなものが見え隠れするので俺としては避けたいのです。