今さらサリンジャーの評伝を読んでも、何も新しい発見などないのではと思って読んでいたら、「ナイン・ストーリーズ」の「笑っている男」には元になった(らしい)作品があると知った。
この作品にはあきらかにシャーウッド・アンダソンの影響がみられ、1921年のアンダソンの作品「わけが知りたい」の奇抜な翻案と考えられる。
とのこと。
自分は荒地出版社の「サリンジャー選集4」で読んだのだが、解説にはそういう影響関係は書いていなかった。
「わけが知りたい」は、新潮文庫の「アンダスン短編集」に収録されている「そのわけが知りたい」らしいので、近々読んでみたい。
それにしても「笑っている男」は面白い。作中作のコミカルで感動的でグロテスクな雰囲気は少しも古びていないし、ちょっと「ライオンと魔女」を思わせるような、ということはつまりキリストのような面もあるのだ。