めちゃくちゃブックス

読んだ本の感想やメモなど

「ゴッドファーザー(上)」マリオ・プーヅォ

・図書館に「ゴッドファーザー」の上下があったので借りてみると、映画でのミッドポイントになると思っていたシーンが上巻の最後の方にあって「やっぱり!」と思う。

 

・原作も映画も前半はタイトルの通り「ゴッドファーザー=ドン・コルレオーネ(=マーロン・ブランド)」という等式がガッチリできているが、後半はそれが揺らぎ、ひっくり返され、「ゴッドファーザー=誰である」という結論が出る方向に進むので、そういう点では「タイトルの意味がわかるまで」の物語になっている。

 

・原作の「ゴッドファーザー」を最初からきちんと読むと、想像していた俗っぽい感じばかりではなく、様々な要素がある。

一番興味深いのは構造で、主人公が前半はヴィト・コルレオーネ、後半は人物が多いので誰に焦点が絞られるか不明な中で、時間をかけながら次第に三男に絞られてくる。

 

・他に気づいたのは「国家よりも家族よりも友情が大切」という論理と倫理で、世の大半の物語は当然の如く「愛が最も尊い」なんて言って澄ましているか、あるいは「お国のため」「企業のため」要は「金のため」で進んでいくのに対して、逆に新鮮味がある。古くてかえって新しい。半世紀も前の小説が新しく感じられる。

(読み終えてからの注:最後まで読むと、友情というのも貸し借りがあってのことで、やや微妙なところがある。映画版ではやたらと「ファミリー」「家族愛」「家族の絆」が称えられているようだったが、それも怪しい)

 

 

・三男のマイケルは、レストランの会談の場面の少し前までは「やっぱり引き返そうかな」「でも、自分がやらなければ」など、行ったり来たりで逡巡している。そのあたりの心理は当然とはいえ周囲が助け舟を出したり、その前に警官に殴られていたり、殴られることでかえって事態が好転したり、様々なプラスとマイナスの要素が絡み合って実に上手い。話題によっては時間的に前後しながら進む構成もよい。

 

・映画の役名で「ソロッツォ」になっている人物が原作では「ソッロッツォ」になっているのは不自然すぎる。「ロ」の前に小さい「」が来るのは変で、どうやって発音しろというのか。原作者の名前も大抵は「プーゾ」になっているが、この文庫では「プーヅォ」としているのも何だか不自然な感じがする。

 

・「ゴッドファーザー」上巻のお終いの方は若い頃のヴィトの話になるので、映画のPart2の要素がすでに原作に含まれていたと知る。

 


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・「ゴッドファーザー」を頭から読み始めたのは10日だが、2日で読了した。珍しく早く読めて驚くほど。

 

・ドラマ「ジ・オファー」の第一話を見たものの、全く面白くないので続きは見ない。人物の心理、動機、興味が少しも伝わってこない(特に主人公)。久々に駄作を見た。期待した分だけ損をした。