ユーモア色の強い時代物の短編を集めたアンソロジー。
特に印象に残った4編のみ簡単にメモしておく。
「大黒漬」泡坂妻夫
新作落語で、神様が3つの願いをかなえてくれるというもの。間抜けな神様が人間に逆襲されてしまい、願いをかなえ続ける羽目になる。
「嘲斎坊とは誰ぞ」小田武雄
エッセー風に始まって、「嘲斎坊」の正体が最後にわかるという話。謎の本を巡る話でもあって、本のタイトルも最初から明示されているが、全くわからなかった。
「反古庵と女たち」杉本苑子
4,5代目の市川団十郎をとりまく女性たちを描いた話。
この人の文章は平易でスラスラ~っと読める。それでいて、余りゆるいという感じでもない。他にも歌舞伎関係の本や小説を書いているようなので、読むことにする。
「わたくしです物語」山本周五郎
他人のミスをすべて自分の責任として受け、「わたくしです」と出頭する不思議な男の話。よく練られた脚本の、よく出来た映画を観たような気分になる。こういう小説を読むと夜よく眠ることができそう。