めちゃくちゃブックス

読んだ本の感想やメモなど

エッセー

「幕末奇談」子母澤 寛

子母澤寛といえば新選組三部作が有名だが、そっちは図書館になかったので代打のつもりで借りたのが「幕末奇談」である。 前半は「幕末研究」で語り口がいかにも江戸弁っぽい喋りの雰囲気の残る文章、後半の「露宿洞雑筆」になると、さらにくだけた調子で短い…

「世界の凋落を見つめて クロニクル2011-2020」四方田犬彦

四方田犬彦は一般的にさほど知られていない書き手かもしれないが、かれこれ40年くらい本を出している。ジャンルとしては映画論、漫画論、時評やテーマ別の評論、コラム集など。本書は「週刊金曜日」に書かれた10年分の時評をまとめたもの。集英社新書から出…

「女王の肖像 切手蒐集の秘かな愉しみ」四方田犬彦

切手蒐集に関するエッセーである。今どき切手集めが趣味の人など見たことも聞いたこともないが、かつては日本に「趣味=切手集め」という常識が存在していたのだ。

「コテコテ・サウンド・マシーン」原田和則

先月から音楽関連の本ばかり読んでいて、すっかり音楽本売り場に行く癖がついている。買ったまま読みかけの本が何冊もある状態を気にしつつ「コテコテ・サウンド・マシーン」は書店で見つけて即座に購入した。

「無限の本棚 増殖版 ─ 手放す時代の蒐集論」とみさわ昭仁

私は何かをコレクションするという資質や才能には恵まれていないらしい。しかし、コレクター心理や生態を描くたぐいの読み物は割と好きである。

どんな本を読んでいいのかわからない人たち

読書会を主宰しているので「普段はあまり本を読まない」という人から「どんな本を読んだらよいのか分からないんですけど」という相談を受ける機会が増えてきた。

「殺したい蕎麦屋」椎名誠

ツイッターでこんなことをつぶやくと炎上しそうなレベルの、そして思わず手にとってみたくなるほど物騒なタイトルである。タイトルだけでいうと椎名誠は「ハーケンと夏みかん」や「春画」も素晴らしいが、全著作中、屈指の名タイトルではないだろうか。

「旅先のオバケ」椎名誠

椎名誠を読み始めると「ついでに」という感じで何冊でも読める。「旅のオバケ」は今年の6月に出たばかりの、旅に関するエピソードを書いた雑談のようなエッセー集である。 【この先は汚い話があるのでお食事前の方はご注意ください】

「ぼくがいま、死について思うこと」椎名誠

今年の春先から自分が責任者になって読書会を行っている。夏ごろから本格的に人を集めていくうちに今では6~7名に増えてくれたので、定員いっぱいまであと数人という状況にまでなった。 人集めはこれでよいのだが、どんな本を選ぶかが難しい。

「どこでも誰とでも働ける 12の会社で学んだ“これから”の仕事と転職のルール」尾原和啓

マッキンゼー、リクルート、Google、楽天、ドコモほか、数々の超有名企業を渡り歩いた著者の仕事術や考え方のあれこれを綴った本で、もっと難解なことが書かれてあるのかと思ったら、読みやすくてすぐ読了できた。

ストレートに事態が悪化する本

自分の住む市の図書館で、今月から読書会を開催できることになった。前々から「死ぬまでに一度は自分主催で読書会をやってみたい」と考えていたので、大げさに言うと「夢がかなった!」というレベルで喜ばしいことである。

「これから泳ぎに行きませんか」穂村弘

歌人の穂村弘の書評集を読んだ。いかにも義理で引き受けていそうな文章もあれば、これは魂の底の底から書いていると、こちらが勝手に確信するような文章もあって、基本的にこの人の批評とか書評は面白くてためになる。

「ぷツくんたたたぽうぽ」という奇怪な音

内田百閒の随筆集「凸凹道」所収の「大瑠璃鳥」に「ぷツくんたたたぽうぽ」という奇怪な音が出てくる。

「僕がコントや演劇のために考えていること」小林賢太郎

小林賢太郎はコントや芝居、あるいは一人芝居風の独自のコントを行い、映像作品を作り漫画も描く人である。名前の通りクレバーで、物言いがシンプルでストレートで飾り気がない。

岩波文庫90周年

本日は岩波文庫の誕生日で、90周年とのこと。人間でいうと卒寿である。

「栗本薫 全著書レビュー」浜名湖うなぎ

最近「カクヨム」で文章を書いたり読んだりしているのだが、先日「栗本薫 全著作レビュー」という著書別のレビューを発見して、読みふけってしまった。長いシリーズものも1巻ずつレビューしているという労作である。

「別世界にて―エッセー・物語・手紙」C.S.ルイス

副題に「エッセー/物語/手紙」とあって、その通りの本。 「エッセー」とは言っても日本人の書くような身辺雑記ではなくて、ファンタジーや児童文学に関する擁護や、批評に対する返答(反論)が8編。何と言っても「ナルニア国ものがたり」に関する部分に目…

「読む餃子」パラダイス山元

パラダイス山元はミュージシャンとして知られている他に、盆栽や温泉の本を出しており、さらに公認サンタ他あれこれと幅広い活動をしており、何がメインの仕事なのかちょっと把握しづらい。

「映画にまつわるXについて 2」西川美和

本書は映画監督の西川美和が、映画「永い言い訳」を製作した時期に書かれたエッセー集なので、7割くらいは本人による製作過程の報告のような側面もある。

「街道をゆく 31 愛蘭土紀行Ⅱ」司馬遼太郎

Ⅰの続き。面白そうな所をポツポツ拾い読みするのと、前から順番に読み進んでゆく読み方とを並行して行っていたので、いつのまに読むところが無くなったという変な読み終え方であった。

「街道をゆく 30 愛蘭土紀行Ⅰ」司馬遼太郎

山本夏彦より簡潔で辛辣なことを言っている本はないかと探し求めているうちに箴言集を読むようになり、さらに聖書を読んでいるうちに、なぜかケルト民話やファンタジーを読むようになってしまった。

「自殺」末井昭

タイトルがストレートに「自殺」、テーマが一貫して「自殺」なので、重苦しい内容かというとそうでもなかった。

「僕の叔父さん 網野善彦」中沢新一

歴史学者の網野善彦の奥さんのお兄さんの子が中沢新一、という「甥と叔父さん」関係の視点から互いの交流の歴史をまとめた追悼エッセイ。

隠棲する人たち

池内紀の「亡き人へのレクイエム」「ひとり旅は楽し」の二冊を読んでいたら、両方に岩本素白の話が出てきて、ほとんど同じ内容の文章だった。

「素顔の池波正太郎」佐藤隆介

池波正太郎の書生として、十年も仕えたという人の回想記である。

「武玉川・とくとく清水―古川柳の世界」田辺聖子

俳諧連句の付句をまとめた本が「武玉川」で、その中からさらに田辺聖子が選んだ句を解説した新書。どの句も軽妙で温か味があって、時に鋭い。

「女たちよ!」伊丹十三

エイプリルフールというと、伊丹十三の「女たちよ!」で紹介されていた「スパゲティの木」が不作というニュースのことを思い出す。

「妖異博物館」柴田宵曲

古今東西の奇譚を紹介した名随筆。雑談風のアンソロジーのような随筆と言った方が分かりやすいかもしれない。 同傾向の話を比較整理してあるので、原曲とカヴァーを聴き比べるような面白さも味わえる。

「御馳走帖」 内田百閒

最近は、昔読んだ本をただダラダラと読み返してばかりいる(それにしても昔読んで面白かった本をダラダラ読み返すこと以上に面白いことがあるだろうか)。

「パリ左岸のピアノ工房」T.E.カーハート

パリにいるアメリカ人の筆者が、子供の送り迎えの途中でピアノの部品や修理工具、中古ピアノを販売する店を発見する。その店の職人リュックと親しくなり、ピアノを買ったりまた習い始めたり……という風に始まる、ピアノをめぐるノンフィクション。