ツイッターでこんなことをつぶやくと炎上しそうなレベルの、そして思わず手にとってみたくなるほど物騒なタイトルである。タイトルだけでいうと椎名誠は「ハーケンと夏みかん」や「春画」も素晴らしいが、全著作中、屈指の名タイトルではないだろうか。
気になる表題作は筒井康隆の「走る取的」のような、現実の範囲内で何か異常なことが起こって、それが次第にエスカレートするタイプの短編かなと思ったが、高級な蕎麦屋は殺したくなるほど蕎麦の量が少ないというエッセーだった。
この本全体も短い連載エッセーを集めた本で、犬の話あり、旅の話あり、回顧話ありで、ほどほどにセンチメンタルで、適度に怒っていて、読書の話もちょっとあり、椎名誠の全エッセーの縮小的カタログのような本である。
で、話題があれこれ広いので、サラッとすぐに読めてしまう。他の本と違う点というと、せいぜい中盤に車の話が出てくる程度で、椎名誠はジープにでも乗っていそうだが、ベンツに乗っているとは意外だった。しかもベンツにあちこち傷をつけても平気なのだという。