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読んだ本の感想やメモなど

「旅先のオバケ」椎名誠

 

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椎名誠を読み始めると「ついでに」という感じで何冊でも読める。「旅のオバケ」は今年の6月に出たばかりの、旅に関するエピソードを書いた雑談のようなエッセー集である。

 【この先は汚い話があるのでお食事前の方はご注意ください】

 

旅先のオバケ

旅先のオバケ

 

 

印象的だったのはモンゴルの遊牧民の犬・猫に対する態度の話で、まず犬は放し飼いになっていて、よそ者には吠える、噛みつくでかなり危険らしい。ペットというより半分は野良犬のような扱いになってるという。

 

ペットではないから人間が肉を食べる時、いらないものや骨などを投げ与える程度で定期的にえさを与えられるわけではない。唯一定期的な「餌」といったら遊牧民一家がする「野糞」だろうか。

家族の誰かが外に出ていくと犬たちはそのあとについていく。人間がそこらにしゃがむと犬はそのまわりのいいポジションを確保し、終わると一斉に食いにいく。犬にとっても「ひりだした」ばかりの温かい新鮮な糞がうまいのだろう。打ちたて新蕎麦みたいなものかもしれない。そういう役割があるから遊牧民は自分のところの犬をそれなりに大切にする。

 

日本では犬が先に立って散歩をして、糞は飼い主が拾って持ち帰るスタイルが常識のように定着していることを考えると、まるで正反対になっている。

猫の場合はさらに真逆で、

 

一応役に立つノラ犬でもこの扱いであるから日本の二大ペットであるネコなど遊牧民は大嫌いである。みかけるとはっきり悪意を持ってサッカーボールキックのように蹴りとばす。それで死ぬネコもいるようだから、モンゴルのネコは人間を見るとすぐニゲル。世界で一番セコセコした動物になっているのだ。

モンゴル人はどうしてそのようにネコが大嫌いなのか聞いてみたら「まったく働かない動物だから」という明確な回答があった。

 

当たり前のように蹴り殺しているらしい。これは日本人にとってはかなり驚くような光景である。日本では「猫を殺すような人間はやがて人間を殺す確率が高いと考えられている」と何かで読んだことがあって妙に納得したものだが、モンゴルではそうした行為をする方が猫を可愛がるよりも、ずっと普通の人なのだ。