めちゃくちゃブックス

読んだ本の感想やメモなど

「向井くんはすごい! 上」ももせしゅうへい

高校生で、ゲイであることが周囲に知られてしまった「向井くん」が主人公だが、どちらかというとその周囲の人物(主にクラスメイトの男女)の群像劇のような話だった。

個人的にはストレートな長編よりも、視点が次々に別の人物に変わる連作短編が好きなので、ちょうどそういう好みに合っている。ゲイであることがばれた主人公が被害者で弱者かというとそうではなく、外見も内面も成績もスポーツも優秀、という設定が出発点なので、かえって周囲の人間の方が自分の弱さや醜さと向き合うことになる。

 

 

主人公から見て、敵のような人物が実は内面的には似たような悩みを抱えていたり、味方のような助力者が実は利己的で、「平等」「差別に反対」を唱えながらも別の目的を隠していたりする。そのあたりがリアルで、かつドロドロしすぎない。