確か、朝日ソノラマ版の冒頭には作者の言葉があり「乱世編には本物の火の鳥が出てきません」とはっきり書いてあった記憶がある。
連作長編という概念も子供が理解するにはやや難しいものだが、その中でもまた例外的な存在ということになる。
しかも、さりげなく電話が出てくる場面すらある。いかにも「ギャグですよ」という風に描写するのではなく、ごく自然に描いているのも奇妙である。
この場面を見て手塚治虫のイージーなミスと捉える人はいないだろうし、皆が皆、「ちょっとしたジョーク」としてスルーしているのかというと、そこまでリテラシー能力が高いのかどうか、これも疑問に思う。
一般に乱世編は暗く暴力的で、救いがないと思われているようで、それは当然なのだが自分は妙に惹かれる。
