外見は穏やかで優しい美人の母親だが、実は……、という思わせぶりな漫画。
母・静子からたっぷりの愛情を注がれ、平穏な日常を送る中学二年生の長部静一。しかし、ある夏の日、その穏やかな家庭は激変する。母・静子によって。狂瀾の奈落へと!
1巻では息子を溺愛する母親がいて→いかにも不穏そうな雰囲気が高まって→ある決定的な事件が起きる、といったところまで。読者に「来るぞ来るぞ」と思わせておいてドカーン!と来るので、この後はどう始末をつけるのかなといった興味が湧く。
1巻でやけに印象深いのは、朝ごはんがなぜか「肉まん」か「あんまん」の二択で、それ以外の選択肢がないらしいという点と、父親の存在がうんと希薄な点で、これらは何かの伏線なのだろうか。
それからこの種の「顔は綺麗だが、平然と(あるいは信念によって)悪事を行う」というキャラクターは昔から連綿と書き継がれていると思うのだが、誰かがそれを整理しているのを見たことがない。
おそらく世代によっても読書経験によっても色々な答が出てきそうな話題ではあるが、自分の経験に限って考えると楳図かずおの「へび女」「ママがこわい」、ベルばら外伝の「黒衣の伯爵夫人」あたりが最初で、
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もう少し後になると吉田秋生の「吉祥天女」などが思い浮かぶ。
つい最近の例を挙げると「ゴールデンカムイ」の江渡貝くんもその系譜に連なるキャラクターかもしれない。
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「いかにも人情味のありそうな、美形でない外見で殺人鬼(あるいは殺し屋)」という逆パターンもある。なぜかそういうケースは推理小説や映画に多いようで、漫画の例は思いつかない。