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めちゃくちゃブックス

読んだ本の感想やメモなど

「うつヌケ うつトンネルを抜けた人たち」田中圭一

 

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前々からこのブログで、夏樹静子の書いた腰痛の本(「椅子がこわい」「腰痛放浪記」)について書きたいと考えていたのだが、何となく延び延びになっているうちに別の病気の本を読み終えてしまった。

 

うつヌケ うつトンネルを抜けた人たち

うつヌケ うつトンネルを抜けた人たち

 

 

本書は品切れ状態が続いていて、アマゾンでもしばらく購入できない期間があった。近所の書店にもまったく無くて、アマゾンで買えるようになってからも普通の書店では見かけないままだった。今日たまたま大宮駅構内の書店に入ったら6冊ほどまとまっていて「再入荷しました!」という書店側のメッセージもついていたので購入し、仕事で長距離バスに乗った車中で読了した。

内容はうつ病になって、完治またはほぼ治った、という有名人および一般人のドキュメンタリー的なもの。書き手自身と編集者もうつ病経験者なので、バランスとしては重く深刻になりすぎず、かといって軽すぎもせず、あえて「うつ病を理解しないキャラクター」を配置してあったりもして、学習漫画のパロディのような趣があり、エッセー漫画調の読みやすさもある。

うつ病の人は単なる怠け者、怠惰な人間と決め付けられるような風潮が今でもあり、私自身も以前はそういう印象を少なからず持っていた。しかし仕事の関係で医療保険の審査基準などを少し知ると、そう特殊でもなく(つまり、なる人がかなり多い)、軽い病気でもなく(つまり、医療保険に入りにくくなる)、深刻さの度合いにおいては他の病気より手ごわいと知った。

十代の頃は「うつ病」という言葉しか知らなかったものだが、いま現在は他人事と思えないし、この漫画で描かれているうつ病の症状の幾つかには何となく覚えがある(字を読んでも意味を理解できなくなる、脳が寒天に包まれているような感じ、被害妄想的に他人の言葉を解釈するなど)。

治った人にはある程度の共通点や、共通しない点があって、それらが最後にまとめられている構成は親切である。ただし、総じて治る/治った人には、経済的な蓄えがかなりあって、「思い切って会社を長期間休んだ」「旅に出た」「趣味に没頭した」といった逃げを打てるのである。そうでない多くの人々がいるであろうことは想像に難くないし、例えば会社勤めでなく、しかも子育てのあるシングルマザーなどの場合は一体どうなるのだろうという疑問は残る。

うつ病に限らず、精神疾患も肉体的な病気も「仕事のストレス」が原因になっているケースが多い。立ち直るきっかけも仕事、という例も多々あるので、病気について考えていると自然に仕事、職業との関わり方について考えることにもなる。その点はまた「腰痛放浪記」の時にでも触れてみたい。