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読んだ本の感想やメモなど

「自殺」末井昭

 

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タイトルがストレートに「自殺」、テーマが一貫して「自殺」なので、重苦しい内容かというとそうでもなかった。

 

自殺

自殺

 

 

母親のダイナマイト心中から約60年――衝撃の半生と自殺者への想い、「悼む」ということ。伝説の編集者がひょうひょうと丸裸で綴る。笑って脱力して、きっと死ぬのがバカらしくなります。

 

この内容紹介の通り、飄々とした筆致で半生を振り返り、合間にインタビューが入ったり、自殺ではないにしても病死や自死遺族の問題に触れたりするエッセーである(2014年講談社エッセイ賞受賞)。

以前、集中的に「死体(遺体)」「死刑」に関する本をまとめて読んだことがあるので、死や自殺という話題も一応は読み慣れているが、この手の本を始めて読む人にはひどく重い本かもしれない。

 

世の中、自殺について醒めているような気がします。
おおかたの人は自分とは関係ない話だと思ってるんでしょう。もしくは自殺の話題なんか、縁起悪いし、嫌だと目を背けてる。
結局ね、自殺する人のこと、競争社会の「負け組」として片づけてるんですよ。
死者を心から悼んで、見て見ぬふりをしないで欲しいと思います。
どうしても死にたいと思う人は、まじめで優しい人たちなんです。(「まえがき」より)

 

自殺の理由は明解な場合(借金、病気、抗議など)も、そうでない場合もあるし、明解な場合も断言はできないので「こういう風に受け止めるのが正解」というものではない。たとえば両親がふらっと旅行へ行ったと思っていたら自殺してしまった、という人のインタビューなど「教訓」や「メッセージ」に還元できない、整理して受け止めきれないような何かが残る。

自殺の名所として知られる青木ヶ原樹海の探訪記もある。よく言われる「磁石が狂う」というのは俗説であるという。他にも「薬を飲んで裸で走っていく人には追いつけない」とか、食べ物をたくさん持って樹海に入る人がいっぱいいるとか、そういった細部が興味深い。


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