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めちゃくちゃブックス

読んだ本の感想やメモなど

「百日紅」杉浦日向子

漫画

 

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実際に書かれたのがおよそ20年前で、文庫になったのがちょうど10年前、自分が読むのも10年ぶりくらい。部分的に覚えてはいるものの、半分くらいは初読と同じ感覚で読んだ。

以前読んだ時にあまり理解できていなかった部分も、今読むと何がどう理解しにくかったのかも含めて分かるので、そういう意味でも面白かった(大女の話など)。

 

百日紅 (上) (ちくま文庫)

百日紅 (上) (ちくま文庫)

 

 

先日観た映画「たそがれ清兵衛」「隠し剣 鬼の爪」があまりにも現代人的な人物、男の願望を固めて作ったような女性が出てくる映画だったので、いかにも江戸時代の町らしいの空気の感じられる描写や台詞にはゾクゾクする。特に飲み比べの話の最後。

どの話も短いので、ストーリーの起伏には乏しい。しかしそこがかえってあっさりした良い味になっている。よく「半七」は江戸情緒豊かというけれども、あれは今いちわからない。

 

百日紅 (下) (ちくま文庫)

百日紅 (下) (ちくま文庫)

 

 

しかし「百日紅」において描かれる江戸っぽさはよくわかる気がする。

クーラーのない夏の暑さ、娯楽の無い日々における火事のイベント性、静まり返ったガラーンとした町並み、紙と木でできた建物の薄さや厚さ、汚さといったストーリー以外の絵の部分が印象に残る。

「野分」の最後の、逆光で建物が描かれていて、その間から人物の走る姿が見えている、というコマがとてもいい。漫画は常に、画面の枠が伸び縮みするのだという、当たり前のことをあらためて発見したような気分。

 

注:この感想は2006年ごろに書いたもの。