「ファンダメンタル・ホラー宣言」という副題がついていて、中身はホラー映画を観たり作ったりに関する考察。
主にドキュメンタリー的な要素を導入する手法を中心に、ホラー映画のテクニックに関する考察がメインだが、量的にちょっと物足りなかった。
ホラー映画の魅力―ファンダメンタル・ホラー宣言 (岩波アクティブ新書)
- 作者: 小中千昭
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2003/09/06
- メディア: 新書
- 購入: 2人 クリック: 23回
- この商品を含むブログ (25件) を見る
4章「恐怖の方程式」の中の見出しのタイトルだけメモしておくことにする。
括弧内は私の注釈・要約、または感想。
・恐怖とは段取りである(全体の構成や細部などのこと)
・主人公に感情移入をさせる必要はない(リアルに見せるため)
・因縁話は少しも怖くない(因縁を持ち込むと不条理性が薄れる)
・文字は忌まわしい(ドキュメンタリー的趣向のこと)
・情報の統一は恐ろしい(「統一」というより複数の人物の情報の「一致」、またはその逆)
・登場人物を物語内で殺さない(リアルに見せるため)
・イコンの活用(ここで言うイコンとは不気味な画像・場面のこと)
・霊能者をヒロイックに扱ってはならない(リアルに見せるため)
・ショッカー場面はアリバイだ
・幽霊の「見た目」はありえない(「見た目」とはPoint Of View、主観映像)
・幽霊はどう見えたら怖いのか(不自然に見えたら怖い)
・幽霊ナメもやってはならない(ナメとは背中越しのアングルのこと)
・幽霊はしゃべらない(しゃべるにしてもはっきりさせない)
・恐怖する人間の描写こそ恐怖そのものを生み出す(確かに不美人の叫び顔は怖い)
・本当に怖いのは幽霊しかない(この結論はやや弱く、説得力に欠けると思う)
アッと思ったのは小中和哉という監督とこの人が兄弟だということと、東宝無責任映画のオマージュとして製作されたという「刑事あいうえ音頭」という映画の存在。植木等、谷啓、桑田圭祐、渡辺香津美、サンプラザ中野が出演していたという。