めちゃくちゃブックス

読んだ本の感想やメモなど

「屋上アイランド」

「屋上」というテーマで統一されたビジュアル寄りの本。

屋上ガイド、写真、エッセイ、アンケート、座談会などで構成されている。

屋上にはどこかノスタルジックな味わいがあって、目的を強要しない開放感があって、都会の中でホットとひと息つける避難場所のような面もある。

 

屋上アイランド

屋上アイランド

 

 

勿論、目的を満たすための屋上もある。この本でいうとビアガーデンとか緑化運動とか野鳥の人工営巣地とか。しかし利益最優先ではない、どこか長閑な空気がふんわりと漂っている。世の中全体から見るとスペース上の余り物とでもいった場所が屋上なのだ。

この本は視点が面白いだけにボリューム的にはやや不満足で、いくらでもアカデミックに、かつ俗に、細かく、幅広くできる題材ではないかと思う。

それに屋上が出てくる小説、漫画、映画などについて触れている部分が少なすぎる。韓国映画の「ほえる犬は噛まない」とか「青い春」、漫画だと岡崎京子、吉田秋生、安達哲、それにビートルズの「ゲット・バック・セッション」、小説だとバーセルミ、エッセーだと別役実など、もっといろいろある筈。

それにしても屋上から見上げる空や、屋上から見下ろす地上の様子は眺めていて飽きない。屋上から望む風景はみな美しい。海や山を眺めるのにも似た効果があるようにすら思う。