めちゃくちゃブックス

読んだ本の感想やメモなど

「調理場という戦場」斉須政雄

かなり前の「ほぼ日」の連載も読んでいたが、図書館の料理本のコーナーでたまたま書籍化されたものを見つけたので借りてみた。

調理場という戦場 ほぼ日ブックス

調理場という戦場 ほぼ日ブックス

 

 

無我夢中で、真剣に過ごした若き日々というのは割と誰にでもある経験なのかもしれない。しかし、それを内面化できるかどうか、言葉にできるかどうか、忘れずにいられるかどうかというとかなり難しい。それに、そういう人の言葉は届きにくい。

しかし今、多くの人は一歩間違えればお説教になってしまうようなこの種の言葉を求めている。

私自身も「感謝」とか「努力」、「誠実」とか「謙虚」といったテーマを説得力のある言葉で誰かに語ってもらいたくて仕方がない。そのくせ真っ先に退屈を感じてしまうのも自分である。

この本はうまくその辺の「退屈なお説教」であることを避けているし、欠点が見える前にサッと終わってくれるという、精神の背骨を正してくれるような良書であった。

 

ほぼ日刊イトイ新聞 - 調理場という戦場。