マッキンゼー、リクルート、Google、楽天、ドコモほか、数々の超有名企業を渡り歩いた著者の仕事術や考え方のあれこれを綴った本で、もっと難解なことが書かれてあるのかと思ったら、読みやすくてすぐ読了できた。
どこでも誰とでも働ける――12の会社で学んだ“これから"の仕事と転職のルール
- 作者: 尾原和啓
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2018/04/19
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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たまたま自分も「うちの会社に来ませんか」という誘いを受けていたので、何度も転職できるような人には興味を感じた。
中でも印象的だったのは、医師の場合には「ヒポクラテスの誓い」という倫理規定が作られているのにコンサルタントにはそれがない、だから自分で自分の神を作って、自分を律するしかない、という所で、これは立派なコンサルタントでなくても、自営業やフリーランスで仕事をしている人間には等しく重要なアドバイスではないだろうか。
「自分ルール」として、筆者は三つほど例を挙げている。
「自分がいただいた給料の10倍以上の利益を返して、はじめてスタート地点」
「新しい職場では、まず誰もが手をつけたがらない汚れ仕事を黙々とやり、汚れを剥ぎ取ることで成果を出す」
「上の人には認められていないが、実は価値を出されている方々を見いだし、彼らの言葉を引き出して、上に通じるように彼らの価値を翻訳、接続する」
これはなかなか言うは易く、行うにはかなりの実力と忍耐が必要であるし、時間も手間もかかる。もっとスイスイと、何でも軽くこなす人なのではと勝手に思っていたが、結局はこういう地道な努力を厭わないような人でないと、連続して何度も転職はできないよなと思った。
その後で、たまたま「スラムダンク」の新装版の1巻を読んでいたら、桜木花道がバスケ部に入るために、黙々とボールを磨く場面が出てきて「あっ」と声をあげそうになった。
これは上記の「新しい職場では、まず誰もが手をつけたがらない汚れ仕事を黙々とやり、汚れを剥ぎ取ることで成果を出す」そのものではないか。関係が薄いと思われる本に思いがけないつながりを発見する、ということが時々あるが、まさかスラムダンクと転職の話題が通じるとは思わなかった。
本書は他にも最後の最後になって佐々木マキの「やっぱりおおかみ」が出てくるなど、意外な本とのつながりという点でもスリルがあって面白かった。