1巻で起きた「決定的!」と思われた事件が、さほど大事には到りませんでしたというのが2巻の前半で、こういう盛り上がりと盛り下がりはドラマを見ているような感覚に近い。
やはり食事は1巻と同じく「肉まん」または「あんまん」(P.104)で、このままずっとこのメニューかと思わせるが、やや変わって進展を見せる(P.114)。
主人公の少年は、少しずつ母親の行為に異常性を感じているらしいので、じわじわと変化の兆しはある。ボケにツッコミが必要なのと同じで、狂気の人間には正気の側からの告発がないとバランスが取れない。ただ、それらしき描写はあるのだが、モヤモヤしたままではっきりした言葉や行動にならない。
その「ならない」レベルの心理描写に味があるので、そこが本作の読みどころと言いたい。しかし、それより速いペースで事態が進んで、主人公に好意を持つ同級生の女の子の訪問とそこからの推移を描く後半の展開は実に何というか、読者の予想を少しずつ、あるいは大胆に裏切って、軌道が変な風にずれていって、見たことのないような境地へと導いていく。
ここで出てくるラブレターの文面がやけにリアルで、迫真性があるせいでその後の展開がさらに引き立つ。
「血の轍」第2集、明日27日発売です。雑誌掲載時からかなり加筆、修正しました。大分読み味変わっていると思います。既読の方も是非ご一読を。 pic.twitter.com/JcwpLdp6z1
— 押見修造 (@shuzo_oshimi) 2017年12月26日
【新刊情報】「ママ、どうして”あんなことしたの!?”」母親という狂気が暴走する・・・押見先生最新作!!「愛に殺される!」『血の轍 2巻』本日入荷!とらのあな限定特典としまして1冊につき1枚、特製イラストカードをプレゼント致します。是非!ご来店お待ちしております!! pic.twitter.com/iBJo8VHPJY
— とらのあな 秋葉原店C (@tora_akiba_c) 2017年12月27日
血の轍第2集、発売されました。表紙の原画です。 pic.twitter.com/b5sfXUoY1s
— 押見修造 (@shuzo_oshimi) 2017年12月27日
最終的に、何かはっきりした原因や謎解きは提示されないっぽい作りなので、今のところは期待半分、不安半分といった状態である(でも3巻は絶対に買う)。