「ブッチホン」をかけてくる人、とか「冷めたピザ」「鈍牛」「ボキャ貧」といった評言、そして「平成」と書かれた色紙を出した平成おじさん、として有名な総理大臣(だった)、小渕恵三の評伝。並行して何冊も本を読んでいるので時間がかかってしまった。
筆者は本書の中でたびたび「馬鹿なのか利口なのかわからない、自己演出なのか天然ボケなのかわからない」と嘆いている。
読んでいる方もよくわからない。結論めいたものとして、彼は今の日本の庶民そのものの反映だ、といったことが書かれているが、今や庶民といっても様々である。ちょっと迫力を感じたのは恨みをこめた報復人事のあたり。これはされたら怖い。
政治のことを「権力欲を満たす合法的戦争」、あるいは「政治とは妥協の芸術」などと書いてある部分は印象に残ったものの、いずれも小渕恵三の言葉ではない。
あとは記者とのやりとりで面白いものが少々。
こんな感じ。
記者:厚生省の調査では四人に一人が積極的シングル派で、晩婚化、非婚化が進んでいるという結果が出ましたが。
小渕:そうか。君は結婚しているのか。
記者:いや、まだです。
小渕:(記者の肩をポンと叩いて)頼むぞ。