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読んだ本の感想やメモなど

「別世界にて―エッセー・物語・手紙」C.S.ルイス

 

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副題に「エッセー/物語/手紙」とあって、その通りの本。

「エッセー」とは言っても日本人の書くような身辺雑記ではなくて、ファンタジーや児童文学に関する擁護や、批評に対する返答(反論)が8編。何と言っても「ナルニア国ものがたり」に関する部分に目が吸い寄せられる。

 「ナルニア国ものがたり」を書くにあたって、初めに頭に浮かんだのはあくまでもイメージ(ライオンや橇に乗った魔女や雪の中を歩くフォーン等)であって、次に児童向けのファンタジーという形式、次にキリスト教的な要素が来たのだという。世間はそれを逆に見たがるという点に猛反発している(といっても筆づかいはあくまでも紳士的)。

 

別世界にて―エッセー・物語・手紙

別世界にて―エッセー・物語・手紙

 

 

よく言及され、誉められている本は「アウクトゥールスへの旅」「たのしい川べ」「リリス」「指輪物語」「ウロボロス」など。

SFに関する討論の記録もあって、まるで昔の日本のSF作家みたいなことを言っている。

 

ルイス:……だがおそらくSFの傑作というのは今後を待つべきだろうな。(略)

エーミス:現在はいってみれば、まず緒論の時代ですかね。

ルイス:近ごろの高踏的な批評家にSFを真剣に取り上げろと勧告できるといいんだが……。

エーミス:あの連中が素直にこっちのいうことを聞いて、その気になりますかね?

ルイス:いや、文壇の現在の権威筋が死滅しないことには何も達成されないだろうな。

オールディス:うれしいことをいいますね!

 

この部分など、いかにもルイスの本音を聞いた!という感じで嬉しくなる。

他にもこれぞルイス!という感じの決め台詞をメモしておこう。

 

”児童”向きとばかにするなんて、とんでもない!それは、子どもがよく眠るからといって眠りを見くだすのと、子どもが好むからといって、蜂蜜に対して思いあがるのと、同じく無意味なことでしょうから。

 

子どものためのよい物語は文部省の役人によって書かれるはずがないとはいいません。あらゆる可能性があるのですから。しかし、さあ、どうかなという気はします。

 

本を年齢によって分ける出版社好みの分類法は、現実のどの読者の読書習慣ともあまり関係がないのです。大人になってから子ども向けの本を読むといって非難される大人は、子どもの頃には大人の本を読むといって非難されたものです。

 

五十になっても子どもの頃と同じく読む価値のあるものでなければ、十歳のときにだって読む価値はないのです。

 

<たのしい川べ>にしても、バスタブル三部作にしても、私自身は二十代の後半まで読んだこともありませんでした。しかしそのためにそれらを楽しむ度合いが減ったとは思いません。子どもだけが楽しむ児童書というものはよくない児童書だ、という規範を掲げたいという気さえします。よいものは長つづきするのです。ワルツを踊っているときにだけ好まれるワルツは、感心しないワルツです。