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読んだ本の感想やメモなど

「カスピアン王子のつのぶえ」C.S.ルイス

 

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アイルランド関係で急に思い出したのが「ナルニア国ものがたり」で、学生の頃にシリーズ最初の「ライオンと魔女」を読んで泣きそうになるくらい感動したものの、あまりにも最初が素晴らしかったので、たぶん続編は今ひとつでは、と勝手に判断して読まずにいた。ちょっと気になってきたので、続きを読んでみることにした。

このシリーズ(全7巻)は、それぞれが独立した長編で、かつ全体でひとつの壮大な話にもなっているという連作長編である。

時系列がバラバラになっているため、2巻の話はナルニア国が滅びてしまって復興を目指すというもの。

王位を奪われて、さらに命まで狙われるカスピアン王子(実は正当なナルニア国の王位継承者)と四人の子供が共に悪い国王と戦う。

 

カスピアン王子のつのぶえ―ナルニア国ものがたり〈2〉 (岩波少年文庫)

カスピアン王子のつのぶえ―ナルニア国ものがたり〈2〉 (岩波少年文庫)

 

 

 

感想としては、やはり名作であった。

全体の構成が見事で飽きさせないし、丁寧にバランス良く組み立てられている。

「ライオンと魔女」は今にして思えばアスランがキリストの役割を演じる話だが、今回は王位奪還のための戦争で、いかにもよくある娯楽映画のような(たとえば「スター・ウォーズ」とか)面もあるし、「ハムレット」や「マクベス」風の部分もある。

伏線がきちんと収まるところに収まる気持ちのよさ(特に14章のラスト)がある。

 

他に印象的だったのは以下の点。

 

1. 食べ物の美味しそうな描写。リンゴ、リンゴをくるんで焼いた熊の肉、泉の水、さらに最後の宴会など。

 

2. ユーモア。何度注意しても前足をなめる熊。巨人が泣くと涙がかかってネズミが迷惑するとか、会議のときに「ごはん」のことしか考えていないふくろグマ。

 

3. 昔は思わなかったことといえば、ルーシー、スーザンという名前。今この名前を見るとどうしても昔の「ER」を連想してしまう。

 

4. 「ばんざい!どこだ?」とか「さんせい!さんせい!」といったセリフには何となく藤子不二雄っぽさを感じる。ある種の清潔感や正義感、卑怯を憎む高潔な心などF氏の作風っぽいし、「どこでもドア」を連想させるシーンもある。


5. 印象深いセリフ。

「わたしはけのもだ。そして、とりわけアナグマなのだ。わたしたちは、心を変えたりはせぬ。」

「わたしは、大きくならないよ。けれども、あんたが年ごとに大きくなるにつれて、わたしをそれだけ大きく思うのだよ。」

「そしてそれこそ、世にもまずしい乞食の頭をもたげさせるほど名誉があり、地上でもっとも偉大な皇帝をさえ、ふかくおじぎさせるほど、はじを知るもの、人間というものだよ。ほこりを失ってはいけない。」

 

6. 奇蹟はそれを信じるものに必ず訪れるという面と、信じているかどうかを試すために奇蹟の到来が遅れるという面。

せっかく信じているのに、いつまでも裏切られつづけてしまうというケースも出てくる。そういうケースもチラッと出てくる点が巧い。

 

7. キャラクターの魅力。何と言っても、アスランが出てくるだけで凄い存在感である。そしてリーピチープ。リーピチープは素晴らしい。

 

という訳で続きもなるべく今月中に読んでみたい。