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読んだ本の感想やメモなど

「街道をゆく 31 愛蘭土紀行Ⅱ」司馬遼太郎

 

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Ⅰの続き。面白そうな所をポツポツ拾い読みするのと、前から順番に読み進んでゆく読み方とを並行して行っていたので、いつのまに読むところが無くなったという変な読み終え方であった。

 

街道をゆく 31 愛蘭土紀行II (朝日文庫)

街道をゆく 31 愛蘭土紀行II (朝日文庫)

 

 

気になった点をメモしておこう。


1. アイルランドの反英感情の根深さ、英国とアイルランドの関係はどうしても日本と朝鮮半島の関係を連想してしまう。


2.「森の聖地」という章では運転者兼案内人のジョン・ライリー氏との微妙な対立、反感が描かれていて興味深かった。

司馬遼太郎が、うっかり気安く「ジョン」と呼んでしまう。それに対してジョン・ライリー氏は司馬遼太郎一行の誰をも姓や名で呼ぶことをせず、サンキューとは言ってもその後に「サー」はつけず、勝手にメンバーの一人を「チャーリー」と呼ぶ。

これら全ては「ジョン」と気安く呼んだことへの復讐だという。

誰とでも仲良くしよう、世界を平和にしよう、と思うだけなら簡単だが、実際は人間一人とさえ平和な関係は築きにくい。


3.「森の聖地」の最後のところで鶴見俊輔が唐突に登場する。
今年の春からチビチビと鶴見俊輔著作集を読んでいて、昨日も読んでいたので意外な繋がりに驚く。


4. ホーンブロワー・シリーズという船(海軍)を扱ったシリーズが平積みになっていたのを先日書店で見かけたが、それもチラリと出てきた(114ページ)。

 

パナマの死闘 (ハヤカワ文庫 NV 80 海の男ホーンブロワー・シリーズ 5)

パナマの死闘 (ハヤカワ文庫 NV 80 海の男ホーンブロワー・シリーズ 5)

 

 

ホレーショ・ホーンブロワーの生涯とその時代

ホレーショ・ホーンブロワーの生涯とその時代

 

 
5. 本書に登場しないアイルランド人はいないかと考えて、そうだビョークがいた!と思ったが、よく考えたらアイルランドではなくてアイスランドの人だった。

 

ヴァルニキュラ

ヴァルニキュラ

 

 

6. 司馬遼太郎の文章は人をリラックスさせる。単にリラックスさせるだけでなく、活性化もして、独自のリズムや流れがあって、いつのまにかその文体の音楽に酔ってしまって、うまく巻きこまれる。

だいたい漱石とか鴎外、山本周五郎や宮部みゆきというような「国民的作家」と呼ばれる人は共通して、下手に脅すようなことは書かず、自分を偉そうに見せもせず、人を深いところで慰めるというような。


7. 最後の章の最後の一文は少々、ツッコミを入れたくなる。

「おいおい!」「それが結論かよ!」「今までの記述は何だったんだよ!」「最初に言えよ!」「それを言っちゃあお終いよ!」「そういうオチかい!」と。あるいは「ぎゃふん!」と言いたくなる。