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「トム・ソーヤーの冒険」マーク・トウェイン

 

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「トム・ソーヤーの冒険」は言わずと知れた名作だが、子供の頃に一度読んだものの、ほとんど覚えていなかったので楽しめた。ストーリーはともかく、何と言ってもごく些細な描写が古びておらず、愉快で飽きない。

 

トム・ソーヤーの冒険 (新潮文庫)

トム・ソーヤーの冒険 (新潮文庫)

 

 

世間には、専売特許の薬品とか、健康を増進したり回復したりする新発明の治療法などに、すぐにとびつく連中がいるが、伯母さんもその一人だった。伯母さんは、そういうものを試してみることにかけては誰にもひけをとらなかった。(略)また伯母さんは、あらゆる健康雑誌と、いかがわしい占い師に惜しげもなく金を出す人間であり、それらのものが吹きつける恐るべき無知は、伯母さんにとっては欠くことのできない呼吸のようなものだった。通風、就寝、起床、飲食物、それに、どのくらい運動をすればよいか、どんな心がけでいればよいか、どんな種類の衣類を着ればよいか、というようなことについて、それらの雑誌に掲載されているすべてのばかげたことが、伯母さんにとっては、ことごとく福音であった。今月号の健康雑誌が、いつも前月号ですすめたことと逆のことをすすめていることに、すこしも気がつかなかった。

 

教室が静かになると、トムは、まじめに勉強にとりかかったが、心のなかの動揺は、あまりにも大きかった。読み方の時間には、たいへんな失敗をやったし、地理の時間には、湖の名を山の名に、山を河に、河を大陸の名にとりちがえ、結局、地球を混沌の太古に返してしまった。

 

作文の題目が何であろうと、道徳的、宗教的な見地から見て、何か教訓が得られるような形式にでっちあげるために、そこには並々ならぬ苦心が払われていた。それらの説教が本心から出たものでないことはわかっていても、そんな理由だけで学校からその流行が消えてなくなるはずはないし、現に今日でも依然として流行している。おそらく、この世がつづくかぎり、この流行も続くだろう。(略)だが、このことは、もうこのくらいにしておこう。本当のことを言われると人はいやがるものだ。

 

ちなみに自分が読んだのは昔からある新潮文庫の大久保康雄の訳で、最近は同じ新潮文庫から新訳が出ている。

 

トム・ソーヤーの冒険 (新潮文庫)

トム・ソーヤーの冒険 (新潮文庫)