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読んだ本の感想やメモなど

「書くインタビュー 1」佐藤正午

本を扱うブログは、そこそこネタばれを避けながらあらすじを紹介したり、良い点、悪い点、気になった点など挙げて感想をまとめればよい。よって簡単に書けそうなものだが、中には著しく紹介しづらい本もある。

 最近出た本でいうと長嶋有の「観なかった映画」。これに限らず「マンガホニャララ」なども含めて、この人の書く本は面白いのだがその面白さを説明しづらい。考えているうちに面倒になってきて、延び延びになってしまい、書く機会がなくなりそうである。

 

観なかった映画

観なかった映画

 

 

別役実の「日々の暮し方」もメチャクチャ説明しづらい。説明しがたい何かについて文章を書くのが楽しい場合もあるが、とにかく「する義務」や締め切りがない状態なのでこれもまた延び延びになって、死ぬまで何も書けないかもしれない。

 

日々の暮し方 (白水Uブックス)

日々の暮し方 (白水Uブックス)

 

 

で、今回は佐藤正午の「書くインタビュー 1」について書きたいのだが、これも書きにくい。

 

書くインタビュー 1 (小学館文庫)

書くインタビュー 1 (小学館文庫)

 

 

 「これは、直接会って言葉をやりとりするのではなくて、メールを用いたインタビューです。いっぱんの対面式のインタビューを『喋るインタビュー』だとすると、今回やろうとしているのは『書くインタビュー』です。いままでどおりに質問しようとしても、なかなかそうはいかない。こちらもいままでどおりに答えようとしても、そうはいかない。質問も回答も手間をかけて文章にしなければならないからです」(本文より抜粋)

小説巧者として知られる作家・佐藤正午さんはいかにして作品を“つくって”いるのか――そんな疑問を直接ぶつけるインタビューが、前代未聞の形式で実現。面とむかって話す機会はおろか事前の打ち合わせもいっさい無し、メールのやりとりのみの「書くインタビュー」はスタートしましたが……。

 

仕事で行った先の近くの書店で、たまたまタイトルが目に入ったので手にとって「1」の冒頭をパラパラ読んでみた、というのが切っ掛けである。

メールのやり取りだけで作者へインタビューを行うのだが、質問をするライターが不躾で、いきなり険悪な空気が漂ってくる。もうその時点で読むのを止められなくなって、結局「2」まで買って一気に読んだ。

 

書くインタビュー 2 (小学館文庫)

書くインタビュー 2 (小学館文庫)

 

 

読んでいる間ずっと「?」と「!」が頭の上で点滅し続けるような内容なので、とにかく説明しづらい。自分のように「たまたま手にとって読み始めた」という出会い方ができたことを神様に深く感謝して、自分の強運を盛大に祝いたくなるくらい独特な個性を持った本である。

本書は読書メーターや、アマゾンのレビューなどは目に入れずに、なるべく余計な情報を頭に入れずに読むべき本だ、としか言いようがない。終盤かなり読者に対して牽制球を投げているように読める(「当てにいきます。」への返信など)が、それでもネタバレ的なことを書きたがる野暮な連中がいるのはただただ残念である。