今回で投稿数が100になるので、記念すべき100回目の更新に特別な本を持ってくるかというと、そういう余裕や感慨や特別企画のようなものはない。
そもそもこのブログは「ユーモアのある本」に絞って、そういう本を紹介しつつ自分なりにコレクションするつもりで始めたのだが、表看板にでかでかと「ユーモア」を掲げているたぐいの本はかえって厳しい目で読んでしまうし、面白いと思える本は少ない。
それ以外の本も扱うことにしようと考え直して、チャランポランに、いい加減気味に書くようになって(さらに過去に書いた感想も混ぜるようになってきて)やっとホイホイ書けるようになってきた。
それ以外の本と言っても、結局はユーモアのある部分を探しながら読んでいるような姿勢ではあるので、一つの例として今回は城山三郎の「少しだけ、無理をして生きる」を挙げてみたい。
本書は人生とか仕事とか、リーダーの資質だとか、明治の誰それや昭和の経営者がどうしたとか、概ねその手のビジネスマン向けの話題が満載の本である。
その中に、サミー・デイヴィスJrのステージをラスベガスで観た時のことが書いてある。
彼のショーを見た日のラスベガスは、とても寒かったのです。あそこは砂漠ですから暑い土地ですが、珍しく冷え込んだ日で、さっそく司会者が話のネタにしていました。サミー・デイヴィスJrが登場したら、司会者がいきなり「今日はものすごく寒いと思ったら、おまえ、ずいぶん縮んで出てきたな」。そんな冗談を飛ばしたら、サミー・デイヴィスJrがすかさず切り返して、「おれはこの歳になるまで子供服の売り場にしか行ったことがないんだぜ、いまさら今日になって縮んだわけじゃない」なんて、笑いを取るくらい、小男なんです。
本書の中では、この一言だけが妙に印象に残っている。こういう箇所があると、砂場でたまたま金の粒を発見したような嬉しさがある。
大抵の本は何かしら、探せばどこかにはユーモラスな部分があるものなので、裏口から入って微妙なユーモアを探すようなスタイルの方がかえって楽しい……、と分かるまでに100回かかったということか。