読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

めちゃくちゃブックス

読んだ本の感想やメモなど

「#こんなブラック・ジャックはイヤだ」つのがい

 

スポンサーリンク

 

 

手塚治虫の絵を完コピしたパロディ漫画集、という紹介の仕方にとりあえずはなるのだが、読んでみるとそれだけではない。

 

#こんなブラック・ジャックはイヤだ

#こんなブラック・ジャックはイヤだ

 

 

原作崩壊!?ゆとりのB.J、良い子なキリコ、パリピなロック達にピノコのツッコミが炸裂する!彗星の如く現れた新人イタコ漫画家、つのがいが天才的画力で描いた神をも恐れぬブラック・ジャックパロディ、ついに単行本化!しかも手塚プロダクション公認!!著者のSNSに公開された作品だけでなく、この本でしか読むことができない合計40ページを超える描き下ろし漫画(B.Jレシピや学園モノや手塚治虫タッチに目覚めるまでのエッセイコミックなどなど)も収録。そして巻末には、マジメに描いた美麗カラーイラストギャラリーのオマケもあります。

 

というのは「ブラック・ジャックが本来の漫画ではやりそうにないこと」をそっくりな絵柄で再現する、というだけではなくて、手塚治虫に特有の、あの何とも言えない上滑り気味の悪ノリ的な部分をうまく再現しているからで、そういう意味では絵柄以上にモノマネ芸として感銘を受けた。

なぜかローマ字で「IMAKITA↓」と説明的な注釈(みたいなもの)が書き加えられているとか、意味もなく透明人間風になる(P.100)あたりはまだ普通だが、古びることが分かりきっているような「うぇいうぇい」「パリピ」、既に古びている「とりま」を台詞で使いたがる感じ、というのも何となく本人がやりそうな雰囲気そのままである。そうなると料理関連のページや学園モノの部分も「本人が存命なら……(……やりかねない)」という眼で読めてしまう。

ああいう変な箇所というものは、嫌いな漫画家がやると「つまらない」と感じて放り投げてしまうものだが、手塚治虫の場合はその前後が面白かったりシリアスだったり、あるいは唐突に子供には意味不明の固有名詞を挟んできたりするので読むのをやめる訳にもいかず、何とも奇妙で独特の後味が残った。その部分を研究するような人もいないし、後を継ごうにも普通は継げないものだが、今になってあの感じがまた味わえるとは意外であった。また、普通のいい話的なエピソードもあるので、そこも意外(P.108と109の「青柳」)。

この人はもっと他の漫画家の絵柄も自在に描ける人なんだろうと漠然と思っていたのだが、「アトガキマンガ」によるとそうではないらしいというのも意外だった。