めちゃくちゃブックス

読んだ本の感想やメモなど

「妖異博物館」柴田宵曲

 

スポンサーリンク

 

 

古今東西の奇譚を紹介した名随筆。雑談風のアンソロジーのような随筆と言った方が分かりやすいかもしれない。

同傾向の話を比較整理してあるので、原曲とカヴァーを聴き比べるような面白さも味わえる。

何よりも文章が簡潔平明で、奥が深くて温かく、いつまでも読んでいたくなる。ちょうど鏡花の「小説・戯曲選」を買ったばかりなので、鏡花の小説の元になったエピソードが多く紹介されているのも嬉しい。

 

妖異博物館 (ちくま文庫)

妖異博物館 (ちくま文庫)

 

 

また、近代的な視点から話を解釈し直すような視点も少なからずある。名著の看板に偽り無しといったところ。

奇譚はもちろん、変なイメージや妖怪の言動の面白さが楽しいことには違いないが、ちょっとした細部が応えられない味わいを持っている。

例えば、「ものいう猫」で、猫が喋っているのをお寺の和尚さんが目撃する。

その現場をつかまえて、まあ人が見ていないから追求すまい、と許してやるのだが、猫は三拝九拝してそれ以後すっかり姿を見せなくなったという話。「猫が三拝九拝してその後も一緒に暮した」ではなく「猫がそのまま姿を消した」でもなく、さんざん礼を言っておいて姿を消す、という所に何とも微妙な含みを感じる。

柴田宵曲の本では「古句を観る」も推薦したい。

 

hint.hateblo.jp