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めちゃくちゃブックス

読んだ本の感想やメモなど

「午後の曳航」三島由紀夫

 

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このところ小説を読みかけても今ひとつ気が乗らず、途中で止めてしまうケースが多かったのだが、久々にすぐ読了。未亡人とその息子、及び海の男のほとんど3人しか出てこないし、長めの中編という程度の長さ。

覗きや少年犯罪といった今日的な題材も含まれていて、昭和38年の小説という感じはあまりない。

 

午後の曳航 (新潮文庫)

午後の曳航 (新潮文庫)

 

 

首領は前々から、世界の空洞を充たすにはこんな行為が必要なことを主張してきた。ほかのどんなものでも埋められない空洞は、殺すことによって、丁度鏡が一面の亀裂に充たされるような具合に充たされるだろう。

 

こういうときの父親の、あらゆる独創性を警戒する目つき、世界を一ぺんに狭くする目つきを見るがいい。父親というのは真実を隠蔽する機関で、子供に嘘を供給する機関で、それだけならまだしも、一番わるいことは、自分が人知れず真実を代表していると信じていることだ。

 

私たちは決して結婚なんかしません。そんなことをしたら、世の中はめちゃくちゃになり、港では十艘のタンカーが沈没し、陸ではたくさんの汽車が転覆し、街の飾り窓のガラスはみな割れ、薔薇という薔薇が石炭みたいに真黒になってしまうものね。

 


他に印象深いのは刑法第四十一条を読むところ、房子が口から出したサクランボの種を、竜二が口に入れるところなど。

新潮文庫の裏表紙のあらすじはばらしすぎで、10分の9くらいばらしている。