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「夫のちんぽが入らない」こだま

 

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本書は発売前から楽しみにしていたものの、まさか「はてなブログ」でトピックが作られたり、いきなり増刷になるほどの人気作になるとまでは思っていなかった。

発売前日から一部の書店では扱っていたようで、売れているらしいと聞いてチラッと頭をよぎった「このタイトルのせいで、リアル書店からは人々の足がますます遠のくのでは?」という考えも杞憂に終った。

 

夫のちんぽが入らない

夫のちんぽが入らない

 

 

内容は本当にタイトルの通り、その中心的な状況がほとんど変化しないまま、時間と事件が流れて過ぎていく。

自分は単純な悲劇や喜劇よりも、笑うに笑えない、泣くに泣けないといったような悲喜劇の混在した状況が好きなので、そういう意味では本書はどのページをとっても悲喜劇だらけである。

事実そのものはウェットな、じめじめした、暗いといえば暗い、やるせないといえばやるせないことの連なりが多いので、湿っぽく哀れっぽく、陰々滅々とした調子でそれを綴っても不思議ではないのだが、淡々とした、自分自身にすら他人事として見ているような文章で書かれているので、これ見よがしの深刻さがない。

泣いたり吐いたり寝込んだり、あるいは死を考えるにしても、どこか重さを超越していて、恨みや怒りや愚痴や卑下慢には少しもならない。

おそらくその手の「苦難の道を歩む」「感動の夫婦秘話」仕立ての自己演出を恥ずかしく感じる種類の人なんだろうなと思っていたら、以前、大喜利サイトに書かれていたという話をツイッターで目にした。今でもその頃のHNで呼んでいる人もいるようで、個人的にはタイトルに匹敵するほど「あの人がこの人だったのか!!」という驚きが大きかった。

本書はカテゴリー的に「私小説」なのか「ノンフィクション」なのか区別しづらいが、とりあえず両方に入れておく。