津村記久子の短編集「浮遊霊ブラジル」収録の「地獄」を読んだら、生前にドラマ、映画、小説、その他あれこれの「物語」を消費しすぎた罪によって主人公が「物語消費しすぎ地獄」で罰を受けるという話だった。 これは結構、身につまされる鋭さを持っている。
「別冊太陽 小泉今日子」は買うつもりがあまり無かったのだが、仕事先の訪問時間を調整するために書店に入って、何となくパラパラ読んでみて、これで1800円は安い、と思って購入した。 www.heibonsha.co.jp それで昨夜、別の本を読み終えた後で読み始めて、…
久々に筒井康隆を読んで、文章を前へ前へと読ませる力に驚いた。 聖人伝のパロディのような、また現代の日本において「聖人」はいかに成立するか、という問いへの答でもあるような作品で、冒頭の事件Aから、必然としてBとなり、ということはCになるはずで…
・「ゴッドファーザー」の下巻に進むと、映画ではごく表面だけが描かれていた流れの水面下、さらに深層で何が起こっていたかまで細かく書かれている。
・図書館に「ゴッドファーザー」の上下があったので借りてみると、映画でのミッドポイントになると思っていたシーンが上巻の最後の方にあって「やっぱり!」と思う。 ・原作も映画も前半はタイトルの通り「ゴッドファーザー=ドン・コルレオーネ(=マーロン…
「井上ひさし全選評」は大部だがスラスラ読めて、暇つぶしには最適の読み物である。この種の文章を一度に多く読むと、選評というよりゴシップの要素の方が強いような印象を受ける。 「あの有名な作家の誰それさんって、どんな小説を書いているんだろう」「評…
高野文子のインタビューを読みたいので、わざわざ「数学セミナー」の2018年9月号を買ってしまった。 ここで語られている高野文子先生の主張がすごい。
子母澤寛といえば新選組三部作が有名だが、そっちは図書館になかったので代打のつもりで借りたのが「幕末奇談」である。 前半は「幕末研究」で語り口がいかにも江戸弁っぽい喋りの雰囲気の残る文章、後半の「露宿洞雑筆」になると、さらにくだけた調子で短い…
読者モニターになったおかげで仕方なく「木曜殺人クラブ」を読んだ(注)が、あまり人に薦めようとは思えなかった。ところが同じポケミスの「拳銃使いの娘」を読んでみたら、これはテキパキした文章で面白く、ページ数は「木曜~」の半分だがほぼ一日で読了…
タワーレコードのオンラインショップで「全品ポイント15%還元キャンペーン」をやっている。 CDだけでなく、本も対象なので一万円分買ってみたら、1500ポイントがついてきた。
下巻はいろいろと仲違いしていた関係が修復されたり、前向きに新しい一歩が踏み出されたりで一応まとまるのだが、本来は上中下巻で語るべき大きな話がシューッと縮んでまとまってしまったような感があり、やや残念。
高校生で、ゲイであることが周囲に知られてしまった「向井くん」が主人公だが、どちらかというとその周囲の人物(主にクラスメイトの男女)の群像劇のような話だった。
前回、思わせぶりに引っ張ってしまったその本とは、ブルボン小林の「あの人が好きって言うから…有名人の愛読書50冊読んでみた」である。
読書に関する対談、というよりジャンル別ブックガイド的な性格が強い本。
鏡花の短編「絵本の春」を、文字通り「絵本」にしたもので「絵」といっても版画が挿絵のようにふんだんに入っている。
ポプラ社のアンソロジー「百年文庫」シリーズは行きつけの図書館にたくさん置いてある。
このところ、新選組や明治維新に関する本を集中的に読んでいる。時代背景も人物も、何となくゴチャゴチャしていてよく分からないので避けていたジャンルだが、次第に成り行きが見えてくるようになったせいか、たいへん面白い。
四方田犬彦は一般的にさほど知られていない書き手かもしれないが、かれこれ40年くらい本を出している。ジャンルとしては映画論、漫画論、時評やテーマ別の評論、コラム集など。本書は「週刊金曜日」に書かれた10年分の時評をまとめたもの。集英社新書から出…
切手蒐集に関するエッセーである。今どき切手集めが趣味の人など見たことも聞いたこともないが、かつては日本に「趣味=切手集め」という常識が存在していたのだ。
東日本大震災クラスの大きな災害は、立場によって意見や書き方にブレがあって、どれがスタンダードな、客観的な、きちんとした報告なのか、よくわからない。 この本はイギリスの文学賞を受賞したというので、それなりの客観性があるのではと考えて読んでみた…
母親の誕生日や「母の日」にこの本はピッタリなのでは?と思っていてもすぐに忘れてしまうので、この記事に少しずつ書き足してみたい。
読書会をやっていると、変な感想を言ったり、妙な質問をしたりする参加者がチラホラいる。
内田樹の講演集「日本の覚醒のために──内田樹講演集」にあった伊丹十三論がたいへん面白かった。
内田樹の文章や対談を読んでいると、特定の本を読むことで頭の回転がよくなる、という話が繰り返し出てくる。
トラウマという言葉は大衆化されすぎて、日常会話ですら頻繁に使われるようになった。
半村良の「小説 浅草案内」を読んでいる最中だが、この作品のようにタイトルにわざわざ「小説」と入れる理由は何であろうか。
たまにそっくりなタイトルや、まったく同じタイトルの本を目にする。今回はデザインまでそっくりな例を見かけたので、メモしておく。
今さらサリンジャーの評伝を読んでも、何も新しい発見などないのではと思って読んでいたら、「ナイン・ストーリーズ」の「笑っている男」には元になった(らしい)作品があると知った。
先月から音楽関連の本ばかり読んでいて、すっかり音楽本売り場に行く癖がついている。買ったまま読みかけの本が何冊もある状態を気にしつつ「コテコテ・サウンド・マシーン」は書店で見つけて即座に購入した。
音楽について文章を書くのは難しいし、野暮ったいし、読むのも面倒、なぜなら音楽そのものを聴いている方が何十倍も何百倍も有意義な時間になるから。